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2024/09/13 00:00

【文様の特徴】

「縞(しま)」は幾何構成模様のひとつで、平行する線によって構成されます。

経の線で構成される「縦縞(たてじま)」と緯の線から構成される「横縞(よこじま)」、経と緯の線から構成される「縦横縞(たてよこじま)」とに分類されます。

「縞(しま)」単体では縦縞を指すことが多く、横縞のことは「段(だん)」、縦横縞は「格子(こうし)」といわれ、日本の古い時代に織られていたのは横段が主流でした。

縦縞のように線だけで表現されるものの他に、段ごとに異なる文様を横並びに配したものも多くあります。

【名前の由来】

「段(だん)」とは台状のもののつながりや、物事の区切りを表します。そのことから、横向きの並行した文様を指します。能装束に多く見られ、それ以外では「緯縞(よこじま)」ともよばれています。

「縞(しま)」と名のつくものでも段文様の場合も多くあります。本帖では複数名ある文様は見た目に応じて分類、掲載しています。

【文様の種類】

日本の古代織物である「倭文布(しずり)」や「綺(かんはた)」は段文様であったといわれています。

―古くからある段文様

鎌倉時代頃までの織物は「段(だん)」が主流でした。武士が裃の下に着る着物で、腰の部分などに段が織り出されているものを「熨斗目(のしめ)」(※「束熨斗(たばねのし)」とは別文様)といいます。能や狂言にも用いられています。

能装束には、反物幅いっぱいの段を交互に繰り返し、仕立て上がりに石畳(市松)文様になる華やかな唐織があります。

また「段模様(だんもよう)」は小袖の模様配置を指すこともあり、腰を境に上下に対比させる二段模様と、肩、腰、裾の三段模様とがあります。

茶席の裂として用いられる名物裂に「紹巴(しょうは)」と呼ばれる段の織物があります。「杉綾(すぎあや)」や「山形(やまがた)」状の地紋があり、様々な文様が織り出されています。また、これが転じて絵羽の着物で段に配された構図のことを「しょうは取り」と呼ぶことがあります。

―勘違いされた段だら文様

「段だら縞(だんだらじま)」は横縞のことで、忠臣蔵や新撰組の隊服の袖口飾りである山形を並べた「だんだら模様」とは別物です。これは、仕立てる前の反物が段模様であり、上方の人が横縞を「だんだら」と呼ぶのを江戸出身の新撰組が「段段の模様」と勘違いしたからといわれています。そのため、現代では誤って山形模様をさす場合が多くあります。

【参考文献】

喜田川守貞『近世風俗志(三)〈守貞謾稿〉』岩波文庫(1999)
木村孝『和の意匠にみる文様の名の物語』淡交社(2005)
石崎忠司『和の文様辞典 きもの模様の歴史』講談社(2021)
有限会社 創美苑『きもの用語大全』

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